初恋フォルティッシモ

ユリナがそう言っても、勇佑には通じない。

ってか、そんな必死になられるとちょっと複雑だな。



「お前には関係ないだろ!」

「あるよ!だってこのコ、勇佑の元カノでしょ!?」

「!」



ユリナは今カノだし、関係なくはないはず。

そう思って言ったけど、その瞬間勇佑の表情が微かに曇った。気がした。



「?」



だけどまたすぐにいつもの勇佑に戻って、なかなかプリクラを返さないあたしに言う。



「…いいから返せよ」

「ちょっと、答えになってない!」

「答えって…。別にいいだろ。今はもうどこで何してるかわからない相手だし、逢うこともねぇんだから」

「!」



勇佑はそう言って、ユリナの隙を狙ってすぐにプリクラを奪い返した。


…あっ、



「…ねぇ、本当に逢ってない?」

「当たり前。っつか、麻妃先輩はそんなんじゃな、」

「へぇ。麻妃先輩って呼んでるんだ?」

「!」
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