初恋フォルティッシモ

後藤はざっくりそう説明すると、 偉そうに自身の腕を組む。

その説明に、「お前好きな奴いんの?」とか聞きそうになったけど…その前にその会話を聞いていた他の二人に、それを遮られた。似たような言葉で。


……恋、ねぇ。


俺はそう思いながら青空を眺めると、今度はこの前の青田との会話をゆっくり思い返してみる。



“三島くんって、もしかして…藤本先輩のこと、好きなの?”

“……は、”

“俺は、藤本先輩のことが好きだよ”

“三島くんには…負けないから”



……あれから、俺はそう聞かれた言葉がなんとなく頭から離れずに、ずっとモヤモヤした日々を送っている。

さっき見た少女漫画じゃあ、恋の明確な答えはほとんど描かれていなかった。


ただ1つ言うならば、恋をすると、その人に無性に逢いたくなるらしい。

描かれていたとすれば、マジでそれだけ。


……俺は…

その小さな答えに、自分の気持ちを重ねてみようか…そう思うけれど。

やっぱり認めたくない、という感情が邪魔をして、ため息に変わる。


好きじゃない。

好きなわけない。

……あんな目細女。


俺は静かにそう思うと、また、読み途中の漫画を開いた…。

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