スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「……人のせいにするなよ」


岳は
冷たく俺に言い放った。


「そんなに大事だったら、ずっと自分の側に置いておけばいいだろ。何でそうしない?」

「え?」

「急に突き放してヒナちゃん傷つけて。やってる事が滅茶苦茶なんだよ」


もう一度ヒナを見下ろした。
髪の隙間から覗く火傷の痕に、胸が軋んだ。


「……別に置いておきたいって訳じゃ、」

「いい加減認めろよ。何がお前といるべきだ、だよ。勝手な事ばっかり言うな」


顔を上げ、岳に視線を移す。


「俺の気持ちは伝えたよ。でも選ぶのはヒナちゃんだ。ストーカーで怖い思いをした時に、お前に電話がいったんだろ?日本にいる俺じゃなく、ニューヨークにいるお前に。それがこの子の答えなんじゃないのか?」


「……」


「お前は逃げてるだけだよ。目を背けてるだけだ。本当はわかってるんだろ?ヒナちゃんの気持ちも……自分の気持ちも。」



岳はそう言ってヒナを抱き上げた。
俺に背を向け、エレベーターに乗り込む。



「俺が病院に連れて行く。それくらいはいいだろ?」



二人の姿が見えなくなるまで
その場から動く事が出来なかった。


岳にぶつけられたいくつもの言葉が
いつまでも脳内を駆け巡っていた
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