スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「忙しくなるぞ。」

男性を見送り、事務所に戻った春木さんがそう言った。


「そんなに時間ないからな。会場との連絡とか調整云々は任せる」

「はい!」

「個展か……」


春木さんは自分のデスクに腰かけ、呟くように口にした。


「楽しみです。どんな個展になるのか」

「うん。俺も楽しみだ」


東京のほぼ中心部に位置する会場は、おそらく連日多くの人で賑わうだろう。
春木さんの写真はますます注目を浴びる事間違いなしだ。



「絶対成功させてやるよ。」



春木さんの嬉しそうな笑顔を見て、私も優しい気持ちになった。

世界中の人の心を掴む写真を撮る。
その夢に一歩近づくチャンスだ。


「……はい。」
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