スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
あの日から抱いていた疑問を、ついに口に出した。
春木さんは横目でチラリと私を見る。


「見た事ない種類の人間だったから。」

「へ?」

「あんたみたいに超ド級のストレートな奴と関わった事なくて。そうやって自分の世界を広げてみるのも面白そうかな、と思って」


……そ、
それだけ?


「素人云々は気にしなくていいよ。誰が来ようがはなから期待なんてしてなかったから」


春木さんが発したその言葉は
私の胸に、深く突き刺さった。

春木さんは、きっとそうやって自分の力だけを信じて生きてきたのだろう。


『お前がいる意味は何もない』


そう言われた気がして肩を落としそうになった。


「役立たずかもしれません。でも、」


私は春木さんから目を背けずに続けた。



「採用されたからには、頑張らせて下さい。」

「……ハイ。頑張って」



一拍遅れて、春木さんが言った。



私はきっと
この先、この人に振り回されるんだろう。


確信めいた予感が 
ふいに胸に押し寄せた。
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