世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「...日和。日和に会って、俺はたくさんの色を見ることができた。初めて黒いアスファルトの上を歩いた。初めて花火を綺麗だと思った。ただ一つ心残りなのは、青い綺麗な空を見る機会が無かったことかな。祭りの日は、もう暗かったからね」

「今から見ればいいじゃん。帰ろうよ、天馬」

「何をするか分からないって言ってんじゃん。いいから帰ってよ。颯太、日和を連れて帰って」


私は青柳颯太の方を見る。


「...それは聞けない、天馬」

「なんで?颯太、分かるだろ?頼むから...帰れ」

「分かるよ。お前が言いたいことは」

「だったら...!」


そこまで言って、天馬は苦しそうに心臓を押さえた。


「天馬っ!?」


荒い息、滲む汗。


「早く...早く帰れよ!!」


怒鳴り声だった。
今までの優しい聞きなれた声じゃない。

ドクン、と心臓が鳴った。


「っはぁ、はぁ...マス、ター...お願い、俺を壊して」

「天馬...」

「お願い、マスター...傷つけたくないんだよ、この人達だけは...っ」


涙が溢れて、止まらない。
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