世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
目の前にいる3人は、俺の両サイドに駆け寄ってきた。

日和と目を合わせると、日和は「ん?」と首を傾げて俺を見上げる。

今、日和の目に俺はどう映っているんだろうか。

日和の目は、俺と同じ。
片目は白い世界が、もう片目はカラフルな世界が見えているはずだ。

でも、やっぱり同じ景色なんて見られないと思った。

日和には日和だけに見える色があって、俺には俺にしか見えない色があって。

それを知っても、俺はそれでいいと思った。


「日和」

「何?」

「好き」

「はっ!?何、突然...!」

「なんか、言いたくなった」


そう言って俺は、日和の唇と俺の唇を重ねた。

優しく触れたその唇をゆっくり離すと、日和の頬がじわじわと赤く染まっていく。

あの日の林檎飴みたいな、いや、それよりもっと、甘い。

甘いものが好きな俺にとって、日和は一番だと思う。


「はは、顔真っ赤だぞ、遊佐」

「日和ちゃん可愛い!」

「う、うるさいっ!」


そう、これでいい。

全く同じ景色なんて、見られなくていい。

俺は、この景色が見られればいいや。

世界が俺らを笑顔にしようと必死になってくれたこの世界が見られるだけで、俺は誰より幸せだ。





END.
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