世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

距離

次の日。

教室に入ると、既に青柳颯太がいた。

私は青柳颯太に近づく。


「あ」


そして、私に気づいた青柳颯太は、一文字だけ声に出した。


「『あ』って何よ。...おはよ」

「いや、別に。おはよう」

「...熱は?」

「もう下がった。昨日は悪かったな」

「ううん、別に大したことしてないし」


彼の声はまだ少し掠れていたけど、彼が言った通りどうやらもう熱は無さそう。


「...あのさ」

「なんだよ」

「...坂瀬くんも、心配してたよ」


私は昨日あったことのうち、それだけ伝えた。


「話したのか」

「うん、少し」

「そうか」

「うん」


淡々と進み、そして止まった会話。

でも、坂瀬くんと話したことを悪くは思っていないようだった。
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