世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
駅前について、時計を見る。

9時10分。
やっぱり少し早すぎただろうか。


「随分と早いな」


しかし、少し先で聞きなれた声がして、顔を上げた。


「青柳颯太...」

「だからなんでフルネームなんだよ」


そう言いながら青柳颯太はふっと笑みを零した。


「なんでこんなに早いの」

「お前も早いじゃん」

「いや、それはそうだけど...」


青柳颯太にかわされ、私は曖昧に頷く。


「カフェ行くか」

「うん」


私が指定したカフェなのに、青柳颯太が先を歩いて、私が後を追う。


「行ったことあるの?」

「いや、無い」

「...そっか」


もしかして、わざわざ調べてきたんだろうか。

よく見れば、青柳颯太はすごくお洒落だ。
図書館やカフェに合いそうな雰囲気の服は、青柳颯太に似合っていた。


「ここであってるよな」

「うん」


青柳颯太の服装を見ているうちに、いつの間にか着いていた。
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