サイレント・キス 〜壁越し15センチの元彼〜
「なーに言ってんの!そういう気分じゃないから行くんじゃない!」
「えっ、ちょっ、北沢さ……」
選択権なんて持っていなかった私は、結局北沢さんに手を引かれて半ば無理矢理飲み会に参加させられてしまった。
「乾杯!」
会社近くの居酒屋の座敷で開かれた飲み会。初っ端からみんなのお酒の勢いは凄かった。
それは、私をここに連れてきた張本人。隣に座っている北沢さんも例外ではない。
「北沢さん、いきなり飛ばしすぎじゃ……」
「なーに言ってんのよー。金曜日よ? 華の金曜日に飲まなきゃいつ飲むのよー」
「まさか、北沢さん、もう酔っ……」
「ちょっと、そこのお兄さん!ビールお代わり持ってきなさーい!」
飲み会開始から約二十分。まだ全然経っていないというのに、北沢さんは完全に酔っていた。
北沢さんや周りの社員さんのようにはなるまいと、適度に飲んで、適当につまみをつまんで、私は少し気持ちいいくらいでお酒を楽しんでいた。
すると、北沢さんとは反対側の左隣に突然男性社員がやって来た。