イレカワリ
このゲームの事は歩から聞いてない。


あたしじゃ説明できない事だ。


どうしようかと考えて、横目で歩を見た。


歩はようやくご飯を食べ終えた所のようで、鞄にお弁当箱を閉まっている。


「ここはどうやって攻略するんだ?」


画面上では勇者が門の前で立ちどまっている。


門の中へと入ればいいんじゃないの?


そう思いながらあたしは画面を見つめた。


「その門の鍵は竜を倒したら手に入るんだよ」


そんな声が聞こえてきて、あたしと高瀬は同時に顔を上げた。


そこには歩が立っていて、ゲーム画面を覗き込んでいたのだ。


「あぁ、そうなんだ? ありがとう木津さん。ゲームやるの?」


高瀬がほんのりと頬を赤く染めてそう言った。


「うん。少しだけね」


歩はそう言い、ほほ笑む。


あたしは歩へ向けて「ありがとう」と、小さくお礼を言ったのだった。
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