イレカワリ
最低
あたしは歩の部屋に戻り、クッションを壁に投げつけた。


一瞬でも歩に心動かされた自分が情けなかった。


入れ替わったのが歩でよかったとホッとしていた自分を怒鳴りたかった。


ベッドにうつぶせになり、枕に顔をうずめて叫んだ。


歩はいつからあんなことをしていたんだろう?


あんなドレスを用意して、モテないサラリーマンの相手をする。


2人で歩いている様子を見れば、今回が初めてじゃないことは一目瞭然だった。


自分の体がたった数万円で抱かれているのだと考えると、発狂してしまいそうだった。


あたしは知らない間に流れてきていた涙を手の甲で拭った。


早く、元の体に戻らなきゃ。


これ以上歩の好きにさせてはいけない……!


あたしはそう思い、拳を握りしめたのだった。
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