イレカワリ
開けたドアの向こうには小さな仏壇があり、その前に置かれている線香から煙が出ている。


部屋の中には机やベッドがそのまま置かれていて、今でも主がいるような状態を保たれていた。


あたしはそっと足を踏み入れて仏壇の前に立った。


飾られている写真立ての中には、歩とそっくりな海の笑顔があった。


「海……」


あたしは小さく呟いた。


14歳で自殺してしまった歩の兄弟。


一体何が合って自殺なんてしたんだろう?


それに、この仏壇の場所も奇妙だった。


昔の家のような仏間がなくても、もう少し人目につきやすい一階に置いてあった方が自然だ。


こんなところに置いてあるなんて、まるでひと目から隠されていうように感じられる。


あたしは海が生きていた部屋を見回した。


壁には数年前にブレイクしたロックバンドのポスター。


机には乱雑に置かれた教科書がある。


しかも、ノートは広げられたままだ。


あたしは机に近づいてそれを確認した。
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