雨降りの誕生日
「その彼氏って人さあ、別れようって意思表示のつもりだったんじゃないの。待ち合わせにあんなとこ誘わないわ、普通」


………悲しいかな、多分的を射ている。


そういうみみっちくて分かりにくいこと好きだった。


うんそれだな。絶対それだよ。


「うわあああ……」


頭を抱えた私に、さらに追い打ち。


「あそこ、振られた人くらいしかいないよ」


すなわち、隠すべくもなく、あそこで突っ立ってた時点で大概が独り身、もしくは振られた人だということだ。


つまり雨宮青年は私が振られたと半ば確信していたわけだ。


恨めしく見つめる。


俺は悪くないと言うので、悪くないけど正しくもないよね、ひどいひどいと返したら小突かれた。


「まあ、最初は、おねーさんに声かけるつもりはなかったんだけどね」

「何で?」

「おねーさんがおねーさんだったってことだよ」

「えええ?」


結局、何度聞いても答え合わせはしてもらえなかった。
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