Double Cool
 「ひどいな」




 苦笑しつつも、一気に空けてしまった美澄のグラスに、もう一杯サーブしてくれる。


 大きな手で軽々とワインの底を握るその手つきは、何度見ても芸術的に美しい。


 …修司の指って、いつ見ても綺麗。


 うっとりしてしまう。


 男性ならではの骨ばってゴツゴツとした大きな手は、それでも指が長くほっそりしているから、少しも無骨には見えない。 




 「でも、美味いだろ。味より量でうわばみのお前からしたら、ロマネもデュペレも区別つかないだろうけど?」

 「ぶ~」




 ブーイングする美澄の子供っぽい仕草を軽く笑って、次々に配膳してくれる料理はどれも美しい皿に盛られて、それ以上に芸術的に美味しそうだ。




 「すご~い。修司の料理、久しぶりだけど、いつみてもホント、ため息がでちゃう」




 お世辞ではなかった。


 修司の柔らかな優しさや裏腹に芯のしっかりした男らしさに惚れた美澄だったけれど、それ以上に胃袋をガッツリと掴まれてしまった自覚もある。




 「…コースだけど、美澄とこうして飯食うのも久しぶりだし、今日はゆっくりしたいから、デザート以外全部出しちゃうけど、いいよな?」

 「うん」

 「泊まれる?」 




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