Double Cool
1.恋してる
 「綺麗ねぇ、これってなんてワイン?」

 「…実は、凄い奮発したロマネ・…」

 「え?本当?」




 食前酒に出されたワインは、芳醇な香りを放つ真っ赤な赤ワイン。


 一口含んだ味わいは、南フランス品種特有の溢れんばかりの果実味が口中に広がって、食堂を通って入った時の重量感が並々ならない。


 が―――。




 「コンティの樽で熟成したデュペレ・バレラ!」

 「……やっぱりね」




 ふふふと修司の顔が柔らかく綻ぶ。




 「美澄も多少、ワインの味がわかるようになったか」

 「そりゃあね。私もいつまでも十代の小娘じゃないわよ」




 とはいえ、




 「修司の収入じゃあ、ロマネ・コンティだなんて、どんなに外れ年の安いヤツでも無理だって、逆推測しただけなんだけどね」




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