恋するBread*それでもキミが好き
「パンケーキ、食べないんですか?」

「食べようと思ってたんだけど、松永さんの顔を見たら今朝買ったパンが食べたくなったから、ここでお腹を満たすのはやめておくよ」

私を見て微笑む彼を見て、思わず『好きです』って言いそうになる気持ちをグッと押し殺した。


だって私、まだ肝心なことを知らないままだから。

「あの!私、松永美緒って言います」

「美緒ちゃん、って言うんだね。かわいい名前だ」


聞かなきゃ。ずっと、知りたかったこと……。


「名前……あなたの名前を、教えてください!」

おでこがテーブルに付くんじゃないかってくらい頭を下げた。

「そっか、言ってなかったね」

顔をあげると、彼はニッコリ笑ってこう言った。


「高瀬(たかせ)です。高瀬東吾(とうご)」

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