恋するBread*それでもキミが好き
自分のデスクに戻る藤村を確認した俺は、先週取材したばかりの書類を眺めていた。


『いらっしゃいませ』

そう言って照れた彼女を見たとき、自分の中で今までになかった気持ちが沸き上がるのを確かに感じた。

質問用紙には、わかりやすく丁寧に回答が書かれていて、こういうところひとつ取っても、彼女の一生懸命さがひしひしと伝わってくる。

メールの返信が出来なくてもいつも前向きで明るいメールを送ってくれて、お礼はなにがいいかと言う言葉にも、彼女は俺の方を見て誤魔化すことなく本音を言ってくれた。


現像したばかりの写真を見ると、屈託のない太陽のような笑顔がそこにはあった。

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