恋するBread*それでもキミが好き
さて、問題はこれからだ。

満員電車に揺られるのが嫌な俺は、毎朝通常の出勤時間に着くよりも一時間早い電車に乗る。実際は出勤時間なんてあってないようなものだが。


2駅先に着く迄に考えた。藤村にどう言い訳をしようか……。

朝一であいつは絶対に俺の所へやってきて、昨日のことを問い詰めるだろう。

ま、考えてもしかたない、なんとか誤魔化すか。


出勤してすぐに静かな社内でコーヒーを一杯飲み、仕事を始めようとしたが「おはようございます」という声に驚いて顔をあげる。

藤村だ。こんな時間に出勤することはほとんどないのに、嫌な予感しかしない。


「た~か~せ~さん」

うれしそうに近づいてくる藤村から、わざと視線を逸らしパソコンを起動した。

「も~先輩ったら、彼女がいるならいるって言ってくださいよ~」

「……」

「俺ね、みんな出勤した後じゃ話しにくいと思ったから、わざわざ早く来ちゃった♪」

「来ちゃった、って……おまえは女子か」


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