恋するBread*それでもキミが好き
「さっき東吾に会ったわ。一年も経つのに、全然変わってなかった」

高瀬さんに会った?一年?いったいなんのことを言ってるんだろう。

「あ、ごめんね。急にこんなこと言ってもわからないわよね。私、神山柚希。東吾と付き合ってたの」


「……え?」


この綺麗な人が、高瀬さんの前の彼女?

急に現実の世界に引き戻された気がした。


「付き合ってるとき、東吾よくここのパンを買ってきてくれてたの。私はそれを食べるのが楽しみで」


遠くを見ているようなその表情は、笑っているようにも泣いているようにも見えた。

ただ、すごく綺麗なこの人が、高瀬さんを特別に思ってるっていうことだけは分かる。

彼女のために、パンを買っていた高瀬さん……。


神山柚希さんと私、ふたりが並んでて、私の方を選ぶ人なんているんだろうか?


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