恋するBread*それでもキミが好き
「あなたにこんなこと言っても仕方ないのに、ごめんなさい」

そう言って彼女が去っていった後も、私はしばらく動けなかった。


高瀬さん、仕事終わったかな……。
でも、神山さんが会ったって言ってたから、もうとっくに終わってるか……。


生ぬるい夏の風に背中を押されてようやく歩き出したとき、高瀬さんからメールが届いた。


【新作パンの感想、直接会って伝えたいんだけど、今からじゃ無理かな?】


【すいません。もう寝る準備をしてしまったので、また今度】


逃げるなんて、私らしくない。

でも私らしいって、いったいなんなんだろう。


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