片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「夫は年内で退職かもしれませんが、私は今の所、退職する意思はありません!今回の企画から外さないで下さい!!」


私は三枝部長に食って掛かった。


「この企画は私の原案に添ったモノです。
原案の主の私を外すなんて酷いです!」


「これは社長の決めたコトだ」


「分かりました。社長に直訴致します!!」


私は踵を返して執務室を出て行った。



「おいっ!?待てっ!!夏芽」


私を追って冬也が追い駆けて来て、右腕を掴んだ。


「落ち着けっ!」


「これが落ち着いて居られますか!!」


私は冬也の手を強引に振り払った。


「これは全部。爺ちゃんの仕業だ。隠していたが、結婚したら夏芽には仕事を辞めて貰いたいと言われていた」


「…それってどう言うコト?」


「・・・少しでも家元となる俺の嫁として・・・緑川家に馴染んで貰いたい爺ちゃんの気遣いと言うか」


「でも、どうせ私達は・・・」


私は廊下で全てを言ってしまいそうになった。

私達は会社全体で祝福され、結婚したーーーー・・・

その私達が偽装結婚だってバレたら、皆はどう思うだろうか。

私は懸命に堪え、冬也と向き合う。







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