片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
周囲は私達を見て見ぬ振りをした。

かって社内では犬猿の仲だった私達が結婚するだもん。皆興味深々になるよね。

私はデスクに戻ってプレゼンの準備を進める。

主任は公言通り1時間後、デスクに歩み寄って『帰るぞ』と私を急かした。

「後もう少し待って下さい・・・」
私はノートパソコンのキーを叩き、主任を待たせる。

「本当にお前はいつも全力投球だな」

私はいつでも手を抜かず、仕事をしっかりとこなして来たが、主任には敵わなかった。でも、それ以上に主任の方が影で努力を重ねていたコトを知っている。ガランとした夜のオフィスで仕事に励む主任。上司もその主任の努力を見逃さなかった。主任は上司である三枝部長に認められ、企画課の責任者に抜擢された。


「このチョコ食べていいか?」

「どうぞ」

主任はデスクの隅の小皿に入れてあった一口チョコを一つ食べる。
小腹が透いた時に食べようと常備していたモノ。
「疲れてる時のチョコは美味い」

私はパソコンをシャットダウンして閉じる。

「何食う?」

「行きたい店があるんだけど・・・」

「いいけど」

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