片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
定時近くなり、ブラインドの隙間から差し込む光はオレンジ色に変化する。

「おーい。久保川」

主任が執務室から出て来て私を呼ぶ。
私は彼の声に弾かれるように席を立って、歩み寄って行った。

「何ですか?主任」

「プレゼンの準備は進んでるか?」

「あ、はい。任せて下さい。今日残業して早急に仕上げます」

「今日は残業いいから…俺とメシ食おう」

「えっ!?あ・・・」

「ダメか?」

「いいえ…別に」

週末の挨拶に向けて訊きたいコトは山ほどある。

「俺も1時間ばかり残業するから・・・お前も残業しろ。終ったら、呼びに来るから」

「分かりました」

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