片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「小陽さんが突き落とされた日は華道のレッスンだったんだろ?
でも、お前と小陽さんはレッスンを受けず、飛び出した。榎並さんの代わりに講師として来た笹沼様に何か言われたんだろ?」


「黄色の薔薇の花言葉知ってる?」


クリスマスローズと同じように色で薔薇の花言葉は違う。


「黄色の薔薇?」

「黄色の薔薇よ。冬也なら知ってるでしょ?」


「赤じゃなく、黄色か…何だったっけ?」

冬也が首を傾げて考え込む。


「『不貞』よ」


「えっ!?」


「私の花材の中にその黄色の薔薇があったの・・・小陽さんが居なければ、私は分からなかった。香苗さんも周囲の人達も皆…私の母と奈都也さんとのコトを…」


瞼の裏が妙に熱くなるのが分かる。私の瞳から悔し涙が零れる。


「な、夏芽・・・」


「花言葉に皮肉を込めるなんて・・・酷い。小陽さんが居なければ、何も知らない私は影で笑われていた」


「夏芽・・・」


冬也が立ち上がって後ろから私を抱き竦めて来る。


「夏芽・・・」

「冬也。私、悔しいの・・・」

私は冬也の両手を解き、彼の腕の中に飛び込んで泣きじゃくった。






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