片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
ホテルのロビーのソファに深く腰を下ろし、彰成様が俺を待っていた。


「彰成様・・・」


「敦司様にお前と香苗さんを見て来いと言われた。夜の帳も降りてるし、このままお泊まりしてロビーに姿が現れなかったら、どうしようかと思った」


「お泊まりなんかしない。俺には夏芽が居るんだ」


「香苗さんの誘いを断ったのか?」


彰成様の好奇な目から顔を逸らす。


「俺と夏芽が離婚して、自分と結婚したら、すべてを丸く収めてやると言った」


「でも、出来ないと断った」


「俺にとって香苗は幼なじみ。
爺ちゃんには悪いけど、緑川派はおしまいだ」


「お前は全てを捨てて、夏芽さんを選ぶのか…寂しいけど。仕方がないな」


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