片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「そう思い詰めるな」と彰成様は切羽詰まった俺の気を逸らそうと夜の銀座に誘った。


彰成様が上京すれば必ず顔を出す高級クラブ。

綺麗に着飾ったホステス達が俺達を囲む。


「俺の奢りだから、気にするなよ。冬也」


俺はぼんやりと部屋で俺を待つ夏芽のコトを思う。


結局、彰成様に振り回され午前様で部屋で帰宅した。


部屋に夏芽の姿はなかったーーー・・・


「夏芽!!?」


俺は部屋中を駆け回り、夏芽の姿を探した。



「彰成様、夏芽が居ない」


ソファで酔いを醒まそうと缶コーヒーを飲む彰成様に泣きついた。


「実家に帰ってんだろ?」


「実家?あ・・・そうかもしれないな」


俺はとりあえず、気を取り直して夏芽に電話を掛けた。



「もしもし・・・」


―――――俺だ。夏芽お前、今何処に居るんだ?

俺は夏芽の声を訊いてひと安心した。

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