片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
私は改めて部屋を眺める。

二人で思案して買い揃えた家具や家電そして小物達。


私達は半年・・・
この部屋で夫婦として暮らした。


「この部屋ともお別れね・・・」


「…夏芽」
切なげな冬也の声が涙を誘う。


「あ、そうだ…待ってて」

私は寝室のクローゼットに隠しておいた冬也へのクリスマスプレゼントを手にしてリビングへと戻る。


冬也は煙草を吸いながら見納めのように硝子の向うの夜景を見ていた。


「一足早いけど…メリークリスマス」


私は拓真さんが選んでくれたクリスマスプレゼントを渡した。


「ネクタイよ」


「ありがとう。夏芽」


冬也は喜んで受け取ってくれた。

< 300 / 359 >

この作品をシェア

pagetop