片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
爺ちゃんの苦しみの原因は肺に転移した癌細胞の痛みから来ていた。


俺と父さん、敦司様を交えて笹沼様母娘との和解に望んだ。


「奈都也様が次期家元・・・」


「これは入院されている家元のご意向だ。冬也君が次期家元とはならない以上、即刻反対派の解散をお願いしたい」


「奈都也様は家元から破門されたお方でしょ?」

「俺は父さんと和解した。敦司様の言葉通り、笹沼さん貴方には反対派を解散させ、『緑川派』の立て直しを共にお願いします」


「・・・ではそれには条件があります。冬也君と娘の香苗を結婚させて下さい」


今まで目を合わせなかった香苗と俺は互いに見つめ合った。


「奈都也さん貴方は今までずっと『緑川派』から破門された方。家元のご子息だからと言って、簡単に家元の座を継げるとお思いですか?」



父さんは口を噤んで悲痛な表情を見せる。



「私は母親の代から『緑川派』に尽くして来ました。それなりの誠意を見せて貰わないと。協力出来ませんわ」


「この私達を脅すのか?貴方は・・・」


「脅しでは御座いません。対価が欲しいのです」


「俺が香苗と結婚して、『緑川派』が安泰になるなら構わない。謹んで受けるよ」


「冬也君?」


爺ちゃんをには心おきなく逝って欲しい。敦司様と同じ願いだ。


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