片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「あの…お客様?」

彰成様達を案内していた従業員が遠慮がちに話しかける。

「俺達知り合いだから…一緒のテーブルでいい。何が美味い?冬也」

「あ・・・」

「仕事で上京したのか?」

拓真さんが彰成様に問いかけた。

「香苗の実家に挨拶に行ったんだよ」

「はぁ?」

「誰かさんに結婚を解消され、失意のドン底に居た女を慰めてやったら恋愛に発展した。なぁ?そうだろ?香苗」

「彰成様の言う通りです・・・」

「彰成様もようやく小陽を諦めたのか・・・」

「小陽とお前の間には息子も出来たし・・・片恋に生きるのは疲れた」

「何が片恋だ。小陽には俺がずっと居たんだ」

「香苗・・・」

香苗に会うのは半年振りだった。
彼女は京都に行き、彰成様の秘書に就いたコトは知っていた。

「冬也、元気そうね」

「香苗も元気そうだな」

「もうすぐ赤ちゃんが生まれるのよね」

「ああ」


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