片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「明後日が出生届のタイムリミットよね・・・」


「赤ちゃんの名前、一緒に考えてくれ」


私の中で赤ちゃんの名前は決まっている。


暑い夏の朝、世界で初めて核爆弾の落とされた広島。

焼け野原となった街。

絶望していた人々。

そんな人々に生きる勇気と希望を与えたカンナの花。


私を死の淵から救った私と冬也の娘。


私にとって娘はカンナの花のような存在。


「私はカンナと名付けたい」


「夏芽の話を訊いて、俺もそう思った。
緑川カンナ・・・それが俺と夏芽の娘の名前だ・・・」


「カンナちゃんか…いい名前ね」

お母さんも賛成してくれた。










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