片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
スクランブルエッグにはベーコンが添えられ、グラノーラ入りのヨーグルトにクロワッサン。そしてサラダとコーヒー。


「いただきます」

小陽さんはエプロンを外し、私の隣に腰を下ろすとコーヒーを啜り、一息付いた。


私は小陽さんの作ったスクランブルエッグを食べながら、ローボードの花に目を向ける。


「あの花はこの間のレッスンで生けた花です。実は私、華道を習っています。流派は貴方が嫁ぐ『氷見流緑川派』です」


「えっ!?」


「おはよう。ちゃんと眠れたか?久保川さん」


副社長は黒縁の眼鏡を着けて、ダニエルと共に現れた。


「奥さん、緑川さんの所の華道習っているみたいですよ」

「昨日、言うの忘れてた。悪い。そうなんだよ。小陽は緑川の華道習ってんだ。師範だし、教えられるレベルだ。それに、小陽の父親は氷見流嵯峨派の家元だよな」


「はい」
小陽さんの父親・伊集院元総理は今、何をされているのかと思っていたけど、華道の家元を継いでいるんだ。


副社長は小陽さんの前の椅子に腰を下ろし、目の前の朝食に手を伸ばす。

「コーヒー用意しますね」

「頼む」

小陽さんは腰を上げて、キッチンに引っ込んでコーヒーを淹れた。


副社長はクロワッサンを齧りながら経済新聞に目を通す。



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