片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「拓真さん、私の服選んでくれました?」


「まだだ。選んでやるから一緒に来い」

副社長は小陽さんを連れて奥のウォークインクローゼットの中に入って行った。
愛しているとは言え、相手の色にトータルで染まるなんて私には出来ない。

私が冬也の色に染まるってコトだもん。

私はバックからメイクポーチを取り出し、自分でメイクを始めた。

急な出張にも対応できるように基礎化粧品も常備しているからこんな時は助かる。
メイクをし終えるとクローゼットから出て来ない二人が気になった。




クローゼットの中から物音が聞え、次第に小陽さんの艶のある声が漏れて来た。


私は慌てて部屋を出てリビングに戻り、ソファに腰を下ろす。


1ヵ月振りだからってクローゼットの中でHなんかしないでよ!
処女の私には刺激が強く、二人の顔をどんな顔で見たらいいのか迷った。


「わん」とダニエルが甘えるように吠えて人懐っこく私の隣へと上がって膝に顔を埋めて来た。


私はダニエルの頭を撫でて、そのまま胴体に手を滑らせた。柔らかく触り心地のいい毛並み。
ダニエルはカラダを起こし、私のほっぺをペロリと舐める。







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