〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

・鈍感と遠慮



「今日は連絡無いの?」

「うん。まだ今のところはね。
流石に昨日の今日で、すぐ来い、は無いと思う」

...めちゃめちゃ疲れたし。
なんとかご飯も食べようって食べたけど。

朝帰り、してしまった。
慌てて帰って来た。
もう、これだから平日は...。

「京、お疲れだもんね。それは彼も充分感じてるでしょ」

きょうって、京?今日?
どっちでも言ってる内容に影響無いけどね。
面倒臭い名前って思う時がある。

他人の会話の頭で、きょう云々と聞くと、つい反応してしまう。


「愛されてるね。いいんじゃない?復活愛」

ツンツンって首を指す。

「小さい紅いの見えてる」

「えーっ!?」

慌ててコンパクトの鏡を取り出し確認してみた。

あ...。見えるか見えないかギリギリの場所。
ブラウスの襟で隠れる位置。
はぁ、慌てて出たから気が付かなかった。

...アイツ、確信犯だな。
「焦っちゃってぇ。...身体にもあるかもよ?」

ブラウスの襟元を引っ張って思わず覗き込んだ。

見える訳無いか...。

「気が付かないくらい夢中だった?
それとも、意識が飛ぶくらい、大変だったのかな?」

「もう...麻美ぃ、止めて」

そんな事無いって言えない。
言えない、...だから朝帰りになったんだ。

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