〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

甘い後には苦いが待っているのかしら。
急に沢山幸せを感じるとなんだか不安になる…。


あれから部屋に着いた陽人は、課長の顔を教えて欲しいと言った。

知る必要があるのか…。
二人は何かやり取りしているのだろうか。

陽人の連絡先を課長に渡し、それからの事は知らない。
陽人も核心に触れる事を言わない。課長からも何か言われもしない。

課長の特長を教えてくれるか、写真は無いかと言う。
そんな事言われても。見る人によって印象は変わるし。
格好いいよって言うのもなんだか憚れた。
私の口から言うのは問題ありそうな気がした。

写真…あ、確か…、麻美がこっそり隠し撮りして、上手く撮れたから見てと送ってきた物が、…あった。

「はい。こんな感じよ」

画面を見せた。

「…もういいぞ。…解った」

随分といい男だな。
しかも、こんな写真、なんで持ってる…。

そう思うなら聞かないとな、疑惑は後々誤解を生じる。すすんで聞きたくは無いけど。

「無いかって聞いたのは俺だけど、なんで写真なんてあるんだ?
しかも誰かと写ってるようなもんでも無いものを持ってるんだ?」

普通に聞けないのか俺は。はぁ、もう…、これでは責めてるっぽいじゃないか。
ついヤキモチだ、ごめん京。

「麻美がね、課長の事好きで。これは盗撮なの。
上手く撮れたから見てって、送ってきたの。そのままずっと忘れてた」

そうだとは思う。言ってる事は嘘じゃないと思う。

だったらこの場で消せって言ったらどうする?…。
…言いはしないけど。


陽人、気にしてる。すぐ消した方がいいよね。

「ふ〜ん。その麻美ちゃんて子は本気なのか?」

何を聞いてる。別に関係ないじゃないか。

「ううん。ちょっと違うみたい。
私には駆け引きが楽しいから、しんどい本気の恋愛はしないって言ってた」

「ほぉ〜。じゃあ、騒いでるだけか」

「騒いでるっていうか、まあ、そういうのが綺麗になれる源みたいよ?」

「ふ〜ん」

なんか消化不良になりそう。
ふ〜んとか、ほぉ〜とか、陽人、別のこと考えてるんだ…。
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