〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

・何も決めないまま


「すみません、待たせましたか?」

「い〜や」

助手席に乗り込みシートベルトをした。

「お疲れ。何食べたい?」

車を出す。


「お疲れ様でした。そうですね、課長はお昼何食べました?」

「俺は、何食べたかな…。
確かミックスフライの定食だった気がする」

「またですか?また食べた物の記憶が曖昧なんて…。
忙し過ぎます。食べてる時だって美味しいって思って食べて無いでしょ?」

「多分な」

「美味しいって思って食べる事、大事だって言いますよ?」

「京の事は美味しいと思ってるけど?」

チュッ。頬に不意打ちのキスをされた。

「…課長。会社からまだそんなに離れてないんですから」

「離れてたら、していいんだ」

「もう、運転中は危ないです」

「運転中じゃなかったらいいんだ」

「集中してください」

「京に?」

チュッ。

「もう…運転にです」

触れた頬に手を当てて軽く睨んだ。

「危ないです。…いくら赤信号だからと言っても」

「はいはい。注意します。で、何食べる?」

頭にぽんと手を置かれた。

「うぅ〜ん。私は和食か中華がいいです」

「ん、じゃあ和食にするか」

「はい」
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