万華鏡
「今日、泊まってく?」
「いえ。帰らせていただきます」
ここは、居心地が悪すぎる。
桜さんと居るのは苦じゃないけど。
「そっか。また、呼ぶね」
桜さんは、残酷な人だ。
言葉ではそう言ってても所詮はただの、駒でしかない。
まぁ、それをわかってて従うのだけれど。
「失礼しました」
部屋を出て宗次郎さんに一言声をかける。
大樹に断りを入れて歩いて帰ることにした。
ふっと、空を見上げると茜色の空が広がっていた。
燃えるような赤、
それを見てあの日を思い出す。
泣き叫ぶあたしの________。