パドックで会いましょう
シャワーを浴びながら、ありもしない事への期待に、うるさいくらいに胸が高鳴っていた。

頭では有り得ないと思っているのに、体は正直なようで、理性では抑えきれないみたいだ。

とにかく身体中が熱い。

身体中の血が沸き上がるように、熱い。

テンパって非常にマズイ事になっている。

このままではねえさんを襲いかねない。

もし万が一そんな状況になったとしても、まさかの事態だから、なんの準備もしていない。

それこそ非常にマズイだろう。

そうならないための予防策として、自力でなんとかクールダウンしておこう。

…情けないけど。

僕がシャワーを浴びながら煩悩まみれになっているなんて、ねえさんは思いもしないだろう。

歳だけはもう大人なのに、余裕の欠片もない、こんな自分が本当に恥ずかしい。



僕が浴室から出た後、ねえさんも続いてシャワーを済ませた。

ねえさんが僕の部屋着を着ている事に、またドキドキしてしまう。

なんでもない部屋着を着ているだけなのに、内側からにじみ出る色気がダダ漏れだ。

完全にこれは反則だろう。

色っぽすぎて、直視できない。

余計な事は考えずに、とっとと寝てしまおう。

ベッドの上の肌掛け布団を整え、枕に新しいバスタオルを巻いた。

「今日は暑かったし、疲れたでしょう。もう遅いし、そろそろ寝ましょうか。ねえさん、ベッド使って下さい。」

「アンチャンは?」

「僕は大丈夫です。その辺で寝ますから。」

クローゼットの中から、普段は使っていないタオルケットを引っ張り出した。



< 58 / 103 >

この作品をシェア

pagetop