キミにだけは遠慮しない
青木田が来て一週間が経った。
一週間経っても、青木田ブームは収まらない。
収まるどころか、さらにブームが高まってるような気がする…。

私は一週間の間、青木田とはほとんど話さなかった。
話したと言っても、業務連絡的な会話しかしなかった。
まぁ関わる気ないし、良いんだけど。

今は昼休み。
今日は何故か、青木田は教室に居た。
そして、席に座って弁当を食っていた。
…コイツ、礼儀正しいな…。
とか思っていたら、青木田がいきなり私の方を見た。
「ん?俺に何か用?」
「…はっ!?」
お前に用事なんてねぇよ!と言いたかったが、押し黙った。
「いや…なんかさっきからジーッと見てたから…何か用かなーって思ったんだ。本当に何もないの?」
「なっ…ないって言ってんだろーが!」
しつこいな…てか、怒鳴っちゃったじゃねーか!
「…ごめん」
私は目を合わせずに、小さい声で謝った。
「………ハハッ」
青木田は、クスクスと可愛らしく笑った。
しばらく笑うと、また私に話しかけてきた。
「じゃーさ、大島さん。下の名前は?まだ聞いてないんだけど」
「…あ?」
何故私の名前を知る必要があるんだよ…。
「私が…お前に名前教えるなんて義務ねぇだろ。友達でもないんだから」
私はこの場に居たくなくて、席を立った。
「大島さん!」
青木田が慌てて呼び止めて言った。

「じゃあ、友達になろうよ」

私は振り向かないまま固まってしまった。
少し経つと、フリーズ状態から少し開放され、青木田の方を振り向いて言った。
「友達?…私に友達なんていらないから、あんたとは友達になれない」
青木田を思いっきり睨みつけて冷たく言い放って、走って廊下に出た。

「…友達なんて…ろくなもんじゃねーよ…」
私は俯きながら小さく呟いた。
そして一粒の光が頬に伝った。
その様子を誰かが見てたなんて知らずに…。
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