キミにだけは遠慮しない
健太郎side

「友達?…そんなのいらない」
冷たく言い放った大島さんの表情は、どこか切なそうで気になった。
…………って第一に言いたかったが、俺がまず思ったのは
“へぇー。女子であんなこと言う子初めてだわ”
だった。
いやー、なんか女子って友達とか彼氏とか…人付き合いがなきゃ生きていけないってイメージがあったから…。
なんか変わった子だなと思った。
「おい、今ので分かっただろ?アイツの本性」
「…え?」
近くに居たクラスメイトの小池がため息混じりに言った。
「アイツ、俺中学から一緒なんだけど、友達いねーんだよ。女王様って言ってる奴もいるけど、なんかヤクザみたいな感じが強いんだよな。言葉遣いも荒いし、不器用だし、合気道習ってるみたいだし」
「え、そうなんだ」
「それに噂だけど、前ナンパしてきた大学生らしき奴3人を、一人で倒したらしーぜ。しかもアイツは無傷だったみたいだし」
「へー…。なんか大島さんってすごい子なんだね」
「ああ。アイツは男子相手でも無傷では返さないって程に強い奴なんだ。先輩後輩関係なく皆アイツを恐れてる。アイツには皆近づかないんだ。だからお前も気をつけた方がいーぞ。そこら辺にいる女子とは違うから」
そう言うと、小池は自分の席に戻って行った。

「…ふーん。めっちゃ気になるなぁ、あの子。もっと知りたくなったわ」
今日この瞬間から俺は、アイツの前では本当の自分“ドS王子”でいることに決めた。

俺はアイツに負けない。ぜってぇ遠慮しねぇ!!
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