可愛い弟の為に
1.出来すぎ
僕の名前は高石 至。

総合病院の内科医。

専門は呼吸器内科。

僕には10歳年下の弟、透がいる。

透は産まれた時から凄く可愛い存在で、学校そっちのけで一緒にいたかった。

…そんな事、絶対に親は許してくれないけれど。

透は小さいときから頭の回転が早かった。

幼稚園の時には読み書きがきちんと出来ていて計算も…。

僕よりはうんと頭が良くて…。

とてもじゃないけれど適わないと思った。

僕はずっと塾に通わされた。

外科医の父と同じ道を歩ませようと母が必死だった。

僕もそれについては特に不満もなくやっていたので問題はなかった。



ただ…透。



透だけはどうにもならない。

両親は透を僕と同じように中学から私立に入れたかったみたいだけど、小学5年で自分の意見をハッキリ言っていた。

「受験するなら行きたくない」

と言って小学校を登校拒否した。

両親は早々に降参して透の思うようにさせた。
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