悲しいかおした君たちがえがおになるまで



「逃げんなよっ」

「やだ!」

「なんでだよ!?」

「だって…」


顔を背ける。
これが今の私にできる唯一の抵抗。


「……フラれるの、わかってるから」


いおは目を見開いて驚いた顔をした。
その表情が、なんでわかったの?っていう顔に見えて。


「そうだよ!フラれたくないの!
最後くらい、告白できたよかったー!でいい思い出にさせてよ…っ!」

「…自分勝手だな」


そう言ったいおの表情がわからない。
違うな。正しくは見れない。
呆れられてるって思うと、すごくみじめで。


「片思いってそうじゃん……自分勝手じゃんか。
自分勝手に好きでいられて、自分勝手に諦めることも辞めることもできて」

「…そうかも、しれないな」


……なんで、肯定すんの。
呆れてるんじゃないの、こんな身勝手な女だったんかって。
チラッといおのこと見たら、よく分からない表情してて。
なんなのって正直思ってしまった。


「フるなら早くフって。」


知られてしまったからには。
もう、開き直るしかなくて。
フラれるの確定だけど、もう引っ越すんだし。
会わないし、後腐れないでしょ?……ってね。


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