紡ぎ歌



大きく欠伸をして、現代文と書かれた教科書とノートを閉じる。


それから少しして、お昼を告げる鐘の音が響いた。



「ん〜、お昼だ〜!!」



大きな声で騒ぐななせを横目に時計を見ると、針は丁度12時を指していた。



「あの人、迎えに来るんだっけ?見かけによらず大胆だよね」


「…まあ、そうだね。正直びっくりしてる」



「いいな〜、琴葉ばっかり。私にも良い人こないかな〜」



いや、あなた充分モテてるよ


「馬鹿だね、ななせちゃんは」



「馬鹿って何さぁ〜!!琴葉の意地悪!…あ、来たよ!噂の王子様だ!」



バッと顔を上げたななせの視線を追うと、彼が朝と同じ場所に立っているのが見えた。



顔立ちが良いためか、クラスの女子がチラチラと彼を見ているのがわかる。



確かに顔は格好良いし、ミステリアスな雰囲気も女の子の気を引いていそう。



「ななせはお昼どうするの」


いつも2人で食べていた為そう確認すると、隣の席に座ってた女の子の首に手を回し、グイーっと抱きよせた。


「ッ、きゃ!」

「テレレテッテテ〜ン!!春乃ぉ〜!」


某アニメの効果音は無視して、春乃ちゃんに声をかける


「ごめんね、ななせのこと、よろしくね」



春乃ちゃんは席も近くて、それなりに仲の良い子だった。



「じゃ!いってらっしゃ〜い!」



白いレースのハンカチをヒラヒラと揺らしているななせに笑いながら、席を立つ。



どっから出したの、あのハンカチ。


涙ぐむフリをしているななせに軽く手を振って、彼の元へと歩いていく。



「こんにちは」



「…こんにちは」



軽く挨拶をすると、彼は間をあけてそう答えた。


「…ついてきて」



間をあけて話すの、癖なのかな



一歩前を歩く彼を見ながら、そう考える。



それにしても、背大きいなあ。


平均身長の私からしても大きいって感じるんだから、よっぽど大きいのかなぁ。



ばれないように小さく深呼吸をして、緊張をほぐす。


あ、良い香り。




って、何先輩の匂い嗅いでるの、私。


いや、違う。これは不可抗力で…って、誰に言い訳してるんだろう。







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