君が消えた日。
目を開くとそこは無機質な病室だった。

ああ、私事故ったんだっけ・・・

えっと、こういう時・・・どうすればいいんだろ・・・ナースコール?

ガラッ

「・・・奏楽?」

「あ、藍華・・・」

そこには、目を充血させきった藍華が居た。泣き腫らしたような顔をしている。

「奏楽・・・本当にごめん・・・私、庇ってもらって・・・」

「い、いや気にしないで!ホント、大丈夫だから・・・」

「でも・・・」

「ホントに!私も・・・ビックリしてるけど・・・まさか自分の体を盾にしてまで人を助けるなんて、想像もしてなくて・・・」

「ありがとう・・・助けてくれて」

ありがとう。その言葉に体がふんわりと暖かくなる気がした。
本当に、不思議な子だ。この子と居ると、なんだか落ち着く。

「骨は折れてなかったって。内臓も傷付いてないし、頭にも異常は無かったから明日には退院出来るって。」

「そうなんだ・・・」

「トラックの運転手も怪我無かったって。今度、家に謝罪に行きたいって・・・」

「!! 駄目!!絶対にやめて!!」

「そ、奏楽・・・?」

しまった。声を荒げてしまった・・・
これじゃ、不審がられてしまう・・・

「え、えーと・・・私が自分で道路の真ん中に行って・・・自業自得なのに・・・申し訳ないし・・・ね?」

「あ、うん・・・そっか・・・」

危なかった・・・
ばれてしまったら駄目。
絶対・・・
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