ルームシェア
何処にでもある駅前のファミレスは、時間の割には客足は疎らで、だけどガヤガヤとうるさい。だけどあまり親しくはない私達にとってこの騒音はありがたかった。
同じ家に住んでると言っても、なかなか一緒にいる時間はない。朝だってすれ違いだし、夜は夜で色々あるから、だからこうやって向い合わせで二人っきりでご飯を食べるなんて初めてだ。
それに、ちょっと宝生さんは意地悪だし……。さっきの気まずい空気も引き摺ったままだったから、このぐらいの騒音が丁度いい。
「あ、のさ……棗ちゃんは何食べる?」
案内されたテーブルに広げてあるメニューを捲りながら宝生さんが訊ねる。
うーん、なんてメニューを見ながら悩んでいると、真っ直ぐ私を見つめる宝生さんの視線とかち合う。
もしかして、早く決めないと不味いかな?!
彼の視線にビクビクしながら、私は適当にメニューを指差す。すると直ぐに宝生さんはテーブルの上にあるボタンを押した。