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単にとぼけているのか、しらを切りたいのか、宝生さんから返って来た台詞はかなり曖昧だった。私の質問の仕方が悪かったのかな?


「えーと、彼女さん、今彼女さんは居ないんですか?」


「………」


今度はあまりにも露骨に聞き過ぎたのか、宝生さんは急に黙り込んでしまった。だからまた嫌な沈黙が二人の間に落ちてくる。


うーん、なんか難しい男の人との会話って。


「今のところは居ないかな?」


たいぶ間が空いて、もうそろそろアパートが見えてきた頃、宝生さんがぽつりと呟いた。


「え?」


何か言ったよね?!


「今のところは居ない」


今度ははっきりと宝生さんはそう言った。だけど私はぽっかりとしたまま彼を見つめた。彼の台詞の意味を直ぐに理解できなかったから。


「だから、今は彼女なんていないよ。それより、じゃあさ、俺達、付き合っちゃう?」

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