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宝生さんは帰って来たばかりみたいで、すぐ私を見つけ呆れて声を掛けたみたいだ。
だってまだ、片手にカバンを持っている。
本当に私は何をしてるんだろ?
「ごめんなさい。あの、すぐご飯の支度……」
しますね。そう続けようと口を開いた時、宝生さんがドスンと私の座るソファーの横に腰を下ろした。
あまりにも突然過ぎる彼の行動に、私の方が驚いてしまい最後まで言葉を言いきれなかった。
「ねぇ、それとも誘ってるの?」
「えっ?」
宝生さんは何を言ってるの?
口の端っこを少し上げ、目を細め私を見つめる彼はいつもの彼じゃあない。それに異様に距離が近い。そんな宝生さんの行動に私の心臓はドキドキが早くなる。
「ねぇ、棗ちゃん。男の正体知らないでしょう?」
「正体?」
「そう、本当の男の正体!」
宝生さんの手がゆっくりと私の後ろに伸びて行く。
私が少しだけ身を反らすと、宝生さんも少しだけ前のめりになる。