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キッチンへ入り、いそいそと晩ごはんの準備に取り掛かると暇をもて余した凌介さんが私の隣に立つ。
その距離があまりにも近いからちょっと驚いてしまったが、冷静を装い淡々と地獄をこなす。だけど内心、心臓はバクバクだ。
それにしても、なんで近寄って来たかな?
「そう言えばさ、棗ちゃんって彼氏居ないの?」
「え?はい??」
突然聞かれた質問に、びっくりしてもう一度聞き返してしまう。って、なんか唐突な質問なんだけど、なんでかな?そろり、隣に立つ凌介さんの顔を覗き込むとニッコリと微笑んだ凌介さんと一瞬目があった。
「うん、だから彼。棗ちゃんかわいいから、もてるでしょう」
酔っ払ってる訳でもないのに、そんな事聞いてくる彼。
そして、にんまり笑う顔の向こう側には毒々しいものが見える気がした。
「そんな……凌介さんみたいな訳、ないですよ」
「俺?」
「だって、もてますよね!イケメンだし…」
「イケメンねぇー」と腕を組んで考え込む凌介さんはやっぱりもてると思う。
女の子慣れしてそうだし、こうやって私にすら女の子の喜びそうな言葉を与える。
結、結構大変だろうな。もてる彼氏を持つと…。
「それより、楢崎健司って知ってる?」