君が好きになるまで、好きでいていいですか?
Epilogue~告白~





身体の気だるさがあるのに、
朝の陽射しの眩しさがなぜか少し心地よく感じる




「…………万由、そろそろ起きようか」

低くい声が耳元で優しく響く


「うぅ………ん」

チュッと柔らかな唇が額と頬に堕ちて、微睡んだ夢心地から引き上げられる

「会社休む?」



 会社…………?






「なんで起こしてくれなかったんですか?!」


泊めてもらったうちで、まさかの寝坊………

迫りくる出勤時間に、目覚まし替わりの携帯がなぜか止められていた


「気持ちよさそうに眠ってる万由があんまり可愛いから、つい起こせなくてね」


ふわふわの大きなベッドで、体力尽きて眠ってしまった………

って言うか、起きれないほど熟睡してた
加減するって言ったのに………

「…………っ」



つい、って………あなたはいつから起きてたの?


「大丈夫だよ。会社はすぐ近くなんだから」

私より先に起きて、余裕で身仕度を整えている後藤さん


確かに、会社から歩いて15分の場所にあるこのマンションなんだけど、
本来なら朝に一度家に帰るつもりだったのに


しかし、今更そんな時間はない


昨日と同じ服だから、もう早めに会社で制服に着替えないと………



バスルームを借りて簡単なナチュラルメイク程度に仕上げ、髪をまとめる


「…………髪、縛るの?」


鏡を見る万由の後ろから顔を出す後藤


このままじゃあ、跳ねたこの髪をセットするムースがないし
昨日コンビニで買った髪止め用の色ゴムで
アップする


「でも、それじゃあ見えちゃうかなぁ……」


後ろから首筋を覗き込むように視線を向ける


「何がですか?」


鏡越しに後藤を見上げると、自分の首筋に人指しゆびを指し示しながら


「キスマークが二つしっかりついちゃってる」


「!!!」

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