虹と日だまり
ハルくんのことを好きだと、幼いながらに自覚したのは、小学3年生になってまもなくのこと。

それからの毎日は、ハルくんと一緒にいれるとすごく嬉しくなって、ハルくんが他の女の子と話してるとモヤモヤして、体育の授業のときは、いつもよりキラキラして見えていた。

そんな毎日のなかで、ある日...

「おーい!!ハルのすきなやつって
しのみやなんだってよーー!!」

クラスのヤンチャ坊主が大声で言うものだから、

「え、まじ!?」
「いつから?」
「なんでなんで!?」
「ハルもうこくったの!?」

なんて質問攻めにあうハルくん。

わたしはわたしで、

「ハルくん、ゆうきちゃんのこと
すきなんだってー」
「ゆうきちゃんはハルくんのことすき?」
「なんてこくはくされたのー?」
「ゆうきちゃん、おへんじしたのー?」

と、こちらも質問攻めだ。

あまりにも一気に質問されて、先にパンクしたのはハルくんのほうだった。

「いーかげんにしろよ!!
だれもそんなこといってねーだろ!?
しのみやだってめいわくだろ!?」

シーン...
となった。

この頃のわたしは、迷惑がってると思われたことより、ずっとゆうき呼びだったのが
名字呼びになったことが、ひどく悲しかった。

「そーだよ!みんなかってにいいすぎ!
ハルくんそんなことひとこともいって
ないよ!!」

わたしも負けじとまくし立てた。

結局この騒動がきっかけで、わたしとハルくんはあまりしゃべらなくなった。
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